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弦楽四重奏曲第1番 (ベートーヴェン) : ウィキペディア日本語版
弦楽四重奏曲第1番 (ベートーヴェン)[げんがくよんじゅうそうきょくだい1ばん]

弦楽四重奏曲第1番ヘ長調op.18-1は、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンによって1798年から1800年にかけて作曲され、1801年に出版された弦楽四重奏曲である。まとめて出版されたop.18全6曲の中の1曲目であり第1番とされている。ただしこれは必ずしも作曲順を意味せず、この第1番がベートーヴェンの作曲した最初の弦楽四重奏曲ではない。
* 作曲:1798年 - 1800年
* 出版:1801年
* 献呈:フランツ・ヨーゼフ・フォン・ロプコヴィツ伯(1772年 - 1816年
*: 音楽家の有名なパトロンで、ベートーヴェンが初期に多くの曲を献呈したほか、フランツ・ヨーゼフ・ハイドンが「ロプコヴィツ四重奏曲(弦楽四重奏曲第81番第82番)」を献呈していることでも知られる。
* 編成:ヴァイオリン2、ヴィオラ1、チェロ1
== ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 ==
交響曲(全9曲)、弦楽四重奏曲(全16曲)、ピアノソナタ(全32曲)の分野において、ベートーヴェンの後世に与えた影響は非常に大きい。ベートーヴェンによってこの三つの分野は作曲家が創作活動の中心に据えるべき完成された形式として確立した。作曲家たちはベートーヴェンを意識する余り、交響曲においてはベートーヴェンの作曲した曲数により「9番」がジンクスになり、ドイツ音楽の後継者として目されることも多いブラームスに至っては筆が進まず、わずか交響曲4曲、弦楽四重奏曲3曲、ピアノソナタ3曲しか残すことができなかったほどである。
弦楽四重奏曲全16曲はピアノソナタと違いベートーヴェンの生涯にわたって広範に散らばっているわけではなく、初期、中期、後期それぞれにある程度集中されて作曲されている。しかし、それぞれの時期の特徴をよく示すものとして、ベートーヴェンの場合、どうしても弦楽四重奏曲は欠かすことはできない。ベートーヴェンはこの三つの曲種を、演奏会で大勢の聴衆を前に自己の芸術を披露することのできる交響曲、人間関係など人生の微妙な問題を語るには弦楽四重奏曲、自己の内心の心情を吐露するには最も身近な楽器であるピアノソナタと、それぞれの性格を活かして多くの作品を残したと言われる。
この初期6曲の弦楽四重奏曲ではまだベートーヴェンは「どのようにして弦楽四重奏を作曲するかの練習」を兼ねていたようだが、弦楽四重奏曲の歴史においてこの6曲は重要な作品とされ、また後に中期作品、後期作品でさらに高い芸術価値の作品が残されたことにより、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は室内楽曲の歴史において最も重要な作品の一つとされた。現代の弦楽四重奏団においても最も重要なレパートリーであり、全曲演奏で評価を得ることが一流の弦楽四重奏団であることの必須となっている。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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